探偵業法とは何か?現役探偵が詳しく解説!


建設業界には建設業法、弁護士には弁護士法とあるように探偵業にも探偵業法という法律があります。
こういった業種ごとに施行される法律は基本的に道徳倫理に反しないよう、また職権を濫用しないために作られる、業者を規制する法律です。

これまで日本には探偵業を含む調査業を規制する法律はありませんでした。
しかし、探偵社や興信所などの調査業において、依頼者との間における契約内容等をめぐるトラブルの増加、違法な手段による調査、調査対象者等の秘密を利用した恐喝等の従業員による犯罪の発生が相次ぎ、悪質な業者による不適正な営業活動が後を絶ちませんでした。
このような状況をかんがみ立法化が検討された結果、調査業のうち探偵業について、平成18年6月「探偵業の業務の適正化に関する法律」が制定され、平成19年6月1日に施行されました。

探偵業法の目的

警察庁による探偵業法の目的としましては
「探偵業法は、探偵業について必要な規制を定めることにより、その業務の適正を図り、もって個人の権利利益の保護に資すること。」とされています。

探偵業法の主な内容

探偵業法の内容と言っても欠格事由や義務、規制等の内容が記されているだけの業者に対する法律です。

主な内容としては

・定義と欠格事由

探偵業務の定義と暴力団関係者や禁固以上の刑に処せられた者等は探偵業を営んではならないという欠格事由。

・届出制の導入

探偵業を営もうとするとする者は、営業を開始しようとする日の前日までに、営業
所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に、所轄警察署長を経由して、営業の届出をしなければなりません。
また、探偵業を廃止したとき、又は届出事項に変更があったときは、廃止等の日から10日以内に、その旨の届出をしなければなりません。

届出をした者には、探偵業届出証明書(届出があったことを証する書面)が交付されます。探偵業者は、探偵業届出証明書を営業所の見やすい場所に掲示しなければなりません。また、探偵業者は、契約を締結しようとするときは、あらかじめ依頼者に対し、探偵業届出証明書の記載事項について、書面を交付して説明しなければなりません。

・探偵業務の実施の原則

探偵業者等は、探偵業務を行うに当たっては、他の命令で禁止・制限されている行為を行うことができることとなるものではありません。
また、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければなりません。

・契約時における探偵業者の義務

探偵業務に係る契約の適正化を図るため、依頼者側の問題に関する義務と探偵業者側の問題に関する義務が定められています。

・書面の交付を受ける義務

探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは、依頼者から、調査結果を犯罪行為、違法な差別的取扱いその他違法な行為のために用いない旨を示す書面の交付を受けなければなりません。

・重要事項の説明義務等

探偵業者は、契約を締結しようとするときは、あらかじめ、依頼者に対し、契約の重要事項について書面を交付して説明しなければなりません。
探偵業者は、契約を締結したときは、依頼者に対し、契約の内容を明らかにする書面を交付しなければなりません。

重要事項についての書面には以下の内容が記載されていなければなりません。

  1. 探偵業者の商号、名称又は氏名及び住所(法人の場合は、代表者の氏名)
  2. 探偵業届出証明書の記載事項
  3. 探偵業務を行うに当たっては、個人情報の保護に関する法律その他の法令を遵守するものであること
  4. 守秘義務等に関する事項
  5. 提供することができる探偵業務の内容
  6. 探偵業務の委託に関する事項
  7. 探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の概算額及び支払時期
  8. 契約の解除に関する事項
  9. 探偵業務に関して作成・取得した資料の処分に関する事項

・探偵業務の実施に関する規制

探偵業者は、調査結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、当該探偵業務を行ってはなりません。
探偵業者は、探偵業務を探偵業者以外の者に委託してはなりません。

・秘密の保持

探偵業者の業務に従事する者は、業務上知り得た人の秘密を漏らしてはなりません。
探偵業者は、探偵業務に関して作成・取得した資料の不正・正当な利用の防止措置をとらなければなりません。

・探偵業者の従業者に対する教育

探偵業者は、その従業者に対し、探偵業務の適正な実施のために必要な教育を行わなければなりません。

・名簿の備付け等

探偵業者は、営業所ごとに、従業者名簿を備えて、氏名、採用年月日、従事させる探偵業務の内容等を記載しなければなりません。
探偵業者は、探偵業届出証明書を営業所の見やすい場所に掲示しなければなりません。

・監督

都道府県公安委員会は、探偵業者に対し、報告の徴収、立入検査、指示、営業停止命令、営業廃止命令等を行うことができます。

といった内容です。
上記のいずれか一つにでも反している場合は罰則の対象になります。

探偵業法を遵守している業者か見極める

探偵業法が施行されてからは悪質な営業活動を行っている業者は摘発の対象となり、指示、営業停止、営業廃止の処分が下されます。
また、一年に一回の立入検査(問題が起きた場合は臨時で入る時もある)がある為、悪質な営業活動はそうそう行えません。
しかし探偵業法を遵守しているかどうかを見極めるのは困難なことです。
ただ、何らかの行政処分を受けた探偵業者は各都道府県警のホームページに公表されます。ご依頼を検討されている業者が公表されていないかは確認するべきでしょう。またもぐりの業者もまだ存在するかもしれません。
届出を行っている場合は届出証明書番号が付与されますから、ホームページ等を確認すると良いでしょう。但し、ホームページに届出証明書番号を記載しなければならないという義務はありませんから、契約書や事務所に届出証明書が掲げてあるかどうかを確認すると良いでしょう。
細かい部分に関しては確認する術自体がない場合もありますが、探偵業法の主な内容に反しているとわかった場合は依頼を避けましょう。