ストーカー被害の現状と対処法について


今回は交際相手や配偶者からのストーカー行為に焦点を当て、ストーカー被害の現状とその対処法について解説していきます。

ストーカー被害の現状

平成12年にストーカー規制法が施行されて以降、ストーカー被害は年々増加傾向にあります。
平成27年度の警察白書のデータを見てみると、平成26年に過去最多の22,823件の認知件数という状況になっています。

この内被害者の年齢として最も多いのは20歳代が全体の35.9%、次いで30歳代が全体の26.5%となっています。比較的若年者が被害に遭う事が多いのがストーカー犯罪の特徴の一つと言えるでしょう。

これはストーカー行為の行為者、つまりストーカー行為を行った人物と被害者との関係性に関するデータを見ればその理由がわかります。

ストーカー行為の行為者と被害者との関係性は全くの赤の他人であることは比較的少なく、全体の約6割が配偶者及び交際相手で占められています。
また、より細かくデータを見ていくと、内縁関係や元配偶者も含む配偶者がストーカーの行為者となるケースが8.6%に対して、交際相手もしくは元交際相手がストーカーの行為者となるケースは51.0%と1位と2位の間に大きな開きがあることが分かります。

これはまだ結婚する前の男女が被害者になるケースが多いという事を意味しており、そうなれば自ずと若年者が被害者の割合の大半を占めることになる理由が分かってくると思います。

またこれは私の個人的な意見なのですが、昨今の携帯電話やインターネットなどのいわゆるコミュニケーションツールの著しい発達によって色々な人と知り合う機会が増えてきたこと、またそういったコミュニケーションツールのユーザーに若年者が多いこともストーカー被害の増加や、若年者がその被害に遭う可能性が高いことの要因の一つと言えるのではないでしょうか?
また男性のストーカー被害者が増加していることも注意すべき点の一つでしょう。

次にストーカー行為の行為者に視点を向けてみたいと思います。行為者の年齢層として最も多いのが30歳代の24.2%、次いで40歳代が21.2%と被害者の年齢層に対して少し高い傾向にあります。

またストーカー行為を行った動機として、平成22年から平成26年までの4年間の間で最も多いのは被害者に対する「好意の感情」で、次いで多いのが「好意が満たされず怨恨の感情」というデータが出ています。

これはストーカー行為の被害者と行為者の関係性の約6割が配偶者及び交際相手で占められていることからも納得がいくでしょう。

また行為者が行ったストーカー行為の内容として最も多いのが「つきまとい・待ち伏せ行為」で、その後に「面会・交際の要求」と「無言電話・連続電話・メールが続きます。

またストーカー行為から脅迫や傷害、最悪の場合には殺人にまで発展したケースも増加傾向にあることから、ストーカー犯罪は重大犯罪と地続きになっている軽視できない社会問題と言えるでしょう。

ストーカー行為の対処法について

ストーカー行為への対処法として多くの人にお勧めするのは警察へ相談に行くことです。というのも「ストーカー規制法」が施行される契機となった、「桶川ストーカー殺人事件(平成11年)、また同法の改正の契機となった、「逗子ストーカー殺人事件(平成24年)で被害者に対する警察の対応の不備が大きな問題になったことから、現在警察ではストーカー犯罪に対して積極的な対応を行うようになっているからです。

但し、被害の状況や相手の性格等によっては必ずしも警察に相談して対処してもらうことが最善ではない場合もあります。
また行為者に対しての対処方法を配慮してもらう必要がある場合もあります。
この事に関しては「・警察の対応について」の部分でご説明します。

では警察署でのストーカー行為の被害届けの出し方と、その後、警察では行為者に対してどのような対処を行うかをご説明します。

被害届の出し方と規制の対象

まずストーカー行為を取り締まる法律である「ストーカー規制法」ですが、この法律の規制の対象となる行為としては

1.つきまとい・待ち伏せ・押しかけ

(例:被害者に対して尾行を行う、被害者の学校や勤務先などで待ち伏せをする、被害者の自宅や勤務先に押し掛ける、など)

2.監視していると告げる行為

(例:被害者に対して被害者の日々の行動などの詳細を口頭や手紙、電子メール、電話などの手段を使って伝え、行為者が被害者を監視していることを被害者に告げる行為、など)

3.面会や交際の要求

(例:被害者に対して行為者が面会や交際、復縁などをしつこく要求する、あるいは行為者が被害者に自分のプレゼントなどを受け取ることを強要する行為、など)

4.乱暴な言動

(例:被害者に対して行為者が「死ね」、「殺す」、「馬鹿野郎」などの乱暴な発言をすること、また上記の様な乱暴な言葉が書かれた手紙やメールなどを行為者が被害者に送付する行為、など)

5.無言電話、連続した電話・ファクシミリ・電子メール

(例:無言電話、あるいは被害者が行為者に対して連絡してくることを拒否しているにもかかわらず電話やメールなどを使用して何度も連絡してくる行為、など)

6.汚物などの送付

(例:行為者が被害者の自宅や勤務先などに汚物や動物の死体などの不快感を与えるものを送りつける行為など)

7.名誉を傷つける

(例:行為者が被害者に対して中傷するような発言をする、あるいはそういった内容の手紙やメールを送る行為、など)

8.性的しゅう恥心の侵害

(例:猥褻な写真などを行為者が被害者の自宅などに送付する、あるいは電話や
メールなどで卑猥な言葉を行為者が被害者に告げる行為、など)

以上の8項目が規制の対象になっています。
もしこれらの被害を受けた場合にはとりあえず警察署に相談に行くことをお勧めします。
この時、話をスムーズに進める上で重要な事の一つは「被害を受けた場所」の地域を管轄する警察署に相談に行くことです。

もちろんあなたが自宅付近で被害に遭った場合はお住まいの地域を管轄する警察署に行けばいいのですが、そうでない場合、例えば勤務先や学校などでその被害を受けた場合には勤務先や学校のある地域を管轄する警察署に行った方が警察の対応がよりスムーズになりますし、警察でもそのように勧められると思います。

次に、警察署に行った際に担当部署の警察官に相談し、被害届を出すことになるのですが、その前にさきほど記載した8項目の行為による被害を受けていたとしても、行為者の動機が「特定の人に対する恋愛感情その他の好意の感情や、それが満たされなかったことに対する恨みの感情を充足する目的」というものでなければストーカー規制法の規制の対象とはなりません。

そのため警察署で被害の相談を行う際には行為者との関係性についてできるだけ詳しく説明する必要があります。
行為者が配偶者や交際相手であるのなら話はスムーズに進むと思われるのですが、例えば行為者が学校の同級生、あるいは職場の上司や同僚であった場合には、その人物があなたに対して恋愛感情やそれを原因とする恨みを持っていると推測される要素を警察官に示すことが重要になってきます。

具体的には行為者からあなたに対して送られた、交際の申し込み、デートへ誘っているような内容の手紙や電子メールなど客観的に示せる証拠が望ましいでしょう。

もしそういう客観的に示せる証拠がないにしてもそれまでの経緯を知る知人や友人に証人になってもらう、それができなくても、あなた自身がきちんとした説明が可能であれば警察としても何らかの対応はしてくれるものと思われます。

以下に被害届を出す際にまとめておいた方が良い情報を記載します。

  1. ストーカー行為の被害を受けた日時と場所
  2. 具体的な被害の内容
  3. 行為者の氏名や住所、勤務先などの情報
  4. あなたと行為者との関係性

以上の4点に関する情報がまとめてあれば、時間をかけずに被害届の受理が行われるでしょう。
しかし、ストーカー行為の初期段階で被害もそれほどではなく、行為者に関しても誰かわからない、つまり相手の氏名や住所、勤務先等がわかっていないというケースもあります。さらに行為の詳細や間違いなくその人物が行っているということを立証することができるかという問題もあります。
何の情報もなく行為自体もそれほど深刻ではないと警察が判断してしまうと、警察としてもどのように対応すれば良いか困惑することになってしまいます。
このような場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
信頼できる家族や知人、友人等に相談して、一緒に行動してもらったり、注意してもらったりと、行為自体を止めさせる方向に動くというのも方法の一つです。
しかし、そもそも行為を行っている時点で危険な人物であることは間違いありません。
対応を間違えると被害が悪化したり、協力者にも被害が及んだりする可能性があります。
できれば情報と証拠を収集して警察に提供し、対処してもらいたいところです。
そういった際に、被害者の心強い味方となってくれる可能性があるのは、身元の特定や証拠集を専門としている、探偵社や興信所ではないでしょうか。
探偵社や興信所はこういった事案を取り扱うこともあるので、対応に慣れている可能性が高く、被害者の安全を配慮し、行為者を刺激することなく情報と証拠を収集してくれることでしょう。
被害を受けているにも関わらず、調査料金を支払わなければならないと、二重に損をした気分になるかもしれませんが、身の安全のためなら躊躇する必要はないかと思います。
また、全てではないにしろ、自分で証拠収集できる部分もあるかと思います。探偵社に相談して、協力して証拠収集を行うことで安価に済ますよう努めてくれるのではないでしょうか。

警察の対応について

では次にあなたが被害届を出してそれが無事に受理されたとします。
その後警察はストーカー行為の行為者に対してどのように対応するのでしょうか?

行為者が誰であるか判明している場合、概ね最初に行われるのは行為者に対する「警告」です。
具体的な内容としては行為者を警察署に呼び出し、あなたに対するストーカー行為をやめること、またやめなかった場合には処罰を受けることになるという警告をされ、更に「警告書」という文書を直接手渡しされることになります。

大半の事件は「警告」によって解決しているようですが、それでもストーカー行為をやめなかった場合には各都道府県の公安委員会から「禁止命令」が出されることになります。
この「禁止命令」と「警告」が違う点は、もし違反すると1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されることになる、つまり具体的な処罰が行われるという点です。

またその禁止命令に違反し、処罰を受けた後にもストーカー行為を続けた場合は警察に悪質であると判断され、脅迫罪などのより重い罪で検挙される場合もあります。

警察が、行為が悪質である、脅迫罪等の罪に該当すると判断していることが前提ですが、もし、行為者が誰であるかわからない場合には、行為者を特定するための捜査や防犯ブザー・監視カメラなどの貸与、110番緊急通報登録システムへの登録など様々な支援が行われることになります。

但し、このテーマの冒頭でも少し触れましたが、必ずしも警察に対処してもらうことが最善とは言えないこともあります。
警察の対処としてはまず「警告」になります。ストレートに警告をしてしまうと、相手を刺激してしまうこととなって行為がエスカレートし、処罰の対象となる前に重大な事件が起こってしまうこともあります。
当然、そのような相手の場合、相談する際にそういった人物であるということを伝えると警察も配慮し、別の対応を行ってくれるでしょう。
しかし、別の対応と言ってもパトロールを強化するといったようなもので、率先して張り込みを行って証拠を押さえる、もしくは取り押さえるということは脅迫罪や強要罪に該当していない限りは難しいでしょう。
ストーカー行為の被害者は、行為者を刺激すると何をされるかわからないという恐怖心から、何もできなくなってしまうという状況に陥ってしまうケースが多いです。
そして行為者はその状況を楽しんで行為に及んでしまうのです。
連絡や接触を拒む、電話番号や住所を変える等も方法の一つですが、相手によっては却って探究心を駆り立てることとなってしまいます。
場合によっては無理に連絡や接触を絶ったりせずに、絶妙な距離感を保つことも必要です。苦しいかもしれませんが、そういった場合は少しずつ距離を離していきましょう。
誰かに相談することも大切です。親しい友人等に一緒にいてもらうだけで心強くなり、またそれが異性であれば行為者にあきらめの気持ちを芽生えさせることができるかもしれません。
相手の性別、知っている人物であれば性格等に合わせて対処することが重要かもしれません。
個人的な意見ですが、ストーカーの被害に遭う方にも何かしらの原因がある場合も少なくありません。
対応を間違えたことで相手を「ストーカー」にさせてしまう方もいます。
優しすぎる、思わせぶりな態度をとる、誘いを断れない、断るとしても自分の意思ではなく用事や仕事を理由に断ってしまう、話の本質から逸れて曖昧にしてしまう等がストーカー被害に遭う方に共通することではないかと感じます。

ストーカー行為の被害受けた時に最も重要な問題点の一つは、ストーカーの行為者が配偶者や交際相手など親しい関係であった人物であるがために情けをかけてしまうこと、あるいは学校の友人や会社の上司などであるがために人間関係に支障が出てしまうことを恐れて警察に被害届を出すことや誰かに相談することを躊躇し、放置してしまうことです。

ストーカー犯罪は重大犯罪と地続きになっている決して軽視できない「犯罪」なのです。
もしあなたがストーカーの被害に遭ったのなら、できるだけ速やかに行動に移すことがあなたの身を守る上で最も重要な対処法と言えるでしょう。



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