探偵は調査する時にどんな機材を使っているのか?【現役探偵が解説!】
探偵に依頼をしようとしている方、また、依頼する予定は無いが、どのような機材を使用しているか気になる方も多いのではないでしょうか。実際に依頼される方の中にも「どんなカメラを使っているんですか?」と質問される方もいます。テレビで探偵のドキュメンタリー番組やリアルに再現したドラマ等はありますが、探偵の機材にクローズアップしたものは少ないように感じます。当然と言えば当然ですね。商売道具は簡単には明かせません。ですが、中には高価な機材や性能の高い機材をアピールして、宣伝に使用している探偵事務所もあります。
上記のような探偵事務所も全てを公表している訳ではないと思います。中には企業秘密にしたい機材もあるでしょう。
また、どの探偵事務所も、どんな機材を使っているかと聞かれても、使用する場所や状況によって、使用する機材が異なるので、説明しきれないというのが正直な答えだと思います。これを言ってしまうとこの続きを見たくなくなるかもしれませんが、場所や状況別にどのようなタイプの機材が優れているか説明していきますのでご安心ください。
- 行う調査によって使用する機材や方法が異なるのか
- 特殊な調査内容の時に使用する機材
- 場所や状況によって使用する機材が異なる?
- 探偵に調査を依頼するメリットはあるか
- まとめ~探偵を選ぶポイント~
1.行う調査によって使用する機材や方法が異なるのか
探偵が行う業務は多岐にわたります。浮気調査、結婚調査、信用調査、身元調査、企業調査等々、主な業務としてはこういったものがあります。しかしどれも「調査」という名称が付き、「個人」にしても「法人」にしても「人」を調べることになります。そういった意味ではどれも変わりはなく、使用する機材や方法が大きく異なるということはありません。基本的にはどの調査もカメラを使用します。状況や行動、証拠を記録するために、カメラは最適な道具です。
また、どの調査にも共通点があります。それは気付かれてはいけないということです。必要に応じてカメラの大きさを変え、時には何か他の物に偽装する必要があります。特に浮気調査に関しては逃してはいけないシーンがあり、より細かい部分の証拠が必要となるため、カメラ選びにも神経質になる必要があります。

モバイルバッテリー型のカメラ ※赤い枠線の中にレンズがあります。

小型カメラ(服の中に入れて、専用のボタンの穴からレンズを出します。)
2.特殊な調査内容の時に使用する機材
2-1.嫌がらせ対策や迷惑行為の防止、証拠収集
探偵が行う業務の中に嫌がらせや迷惑行為の証拠収集というものがあります。こういった時は張り込みをする時もありますが、相手に気付かれないような監視カメラを設置することもあります。抑止力として迷惑行為を防止したい場合は、あえてカメラだとわかるように、防犯カメラやセンサーライトを取り付けることもありますが、秘密裏に証拠を収集し、相手に対して損害賠償を請求したい場合はカメラに気付かれてはいけません。
こういった時は何か身の回りにあるような物、例えば植木鉢や消化器等にカメラを仕込み、証拠収集を行います。
ここでの注意点としては、迷惑行為が及ぶ範囲が特定できない場合、死角を無くすということ、また、こういった行為は夜間に行われることが多いので、暗所でも撮影できるカメラを用意するという点です。

消化器の中に小型カメラを仕込みます。消火器に開けた穴の中から撮影します。

赤外線機能搭載の監視カメラ
2-2.盗聴器、盗撮器の発見調査
こちらは探偵が行う業務というわけではありませんが、多くの探偵業者が取り扱っている業務です。盗聴器・盗撮器発見調査を行う際は特にカメラは必要としません。必要なのは盗聴器や盗撮器の電波を受信する特殊な機材と、あらゆる盗聴、盗撮の手段を想定した機材です。
電波を受信する機材は様々な種類があり、値段もピンキリです。探偵業者が使用しているものは、単に電波を感知するだけでなく、それが盗聴電波や盗撮電波かどうかを識別することができます。こういった機材は性能が高いほど値段も高くなるので、一般の方が数回使用するために購入するには高いと感じるでしょう。
また、電波だけを探るのではなく、熱感知センサーやカメラのレンズ自体を探すような機材を用いることもあります。

盗聴発見器・盗撮発見器
3.場所や状況によって使用する機材が異なる?
最初に場所や状況によって使用する機材が異なると説明しましたが、どういうことでしょうか。今回はメインとなる機材、カメラに関して説明します。
3-1.尾行を伴うかどうか
例えば張り込みの際、車内で張り込みを行うとしましょう。この際、車内の様子が外から確認できないことが前提ですが、特定の場所に人物が出入りするのを記録するだけで良いという内容であれば、正直どういったカメラでも目的は達成できるでしょう。もちろんこういった内容でも、プロの探偵業者であれば、顧客の満足度を得る為に、画像や映像の質が悪い物は使用しないと思いますが…。
大がかりな装置を設置して車内で待機することも可能です。しかし、尾行が必要となる場合、相手の移動手段が何であるかわからないこともあります。
車で移動した場合にこの大がかりな装置を片付ける時間はあるのでしょうか。
徒歩や自転車で移動した場合、持ち運びはできるのでしょうか。持ち運びができ、尾行ができたとしても、あの人はなぜカメラを持ち歩いているのだろうかと思われないでしょうか。
こういったことを意識しなければいけません。
3-1-1.対策
- 張り込みの際に使用するカメラと尾行の際に使用するカメラを分ける
- 尾行と張り込み、両方に支障の出ないカメラに統一する

持ち運びに便利なハンディカム(バッテリーは多めに用意します。)
3-2.撮影する時間帯はいつか
夜間に明かりがないところで撮影したことがある方はわかると思いますが、ほとんど何も写りません。ライトで照らすことができれば問題ないのですが、調査においてライトで照らすことができる場合はほぼ無いといっても良いでしょう。こういった時は暗所に強いカメラや暗視カメラを使用する必要があります。ですが、街灯もないような場所で尚且つ遠方を長時間撮影するような場合、かなりの設備が必要になってきます。それこそ上記の尾行を伴う場合と同じで、人が持ち運んで尾行しながら撮影することは困難になってくるでしょう。
3-2-1.対策
- 撮影班と尾行班を分ける
- 可能な状況であれば暗所に強く、持ち運びが可能なカメラを使用する
- 割り切った判断をするのであれば、撮影が困難な場所に関しては、リスクも伴う為、撮影可能な場所のみ対応する
3-3.車や人が立ち入ることが困難な場所での撮影
張り込みをする際、人がずっと同じ場所に立ち、カメラを構えていることは困難でしょう。10分もすれば警察が来るはずです。そういった場合は車内にカメラを設置して撮影したりするのですが、車が駐車できないような場所も存在します。細い路地に建物の出入口があり、そこに出入りする人物を撮影したいという場合がまさにそういった状況です。
3-3-1.対策
- 人の姿も出さずにカメラだけを、カメラだとわからないように設置する
※この際、見慣れない物であったり、不自然であったりすると、そのもの自体を念入りに確認される恐れがありますので、そこにあっても自然な物に偽装するべきでしょう。
4.探偵に調査を依頼するメリットはあるか
上記の場所や状況のことを考えると、探偵の経験がない方が必要な機材を揃え、調査を行うことは容易ではないと考えられます。機材を揃える費用よりも探偵に依頼する費用のほうが安くなることも考えられます。調査の対象者は自分のペースで動きますので、ご自分の仕事やプライベートの時間を大きく割かれることも問題として挙げられます。
また、調査を行う上で、不自然な場所で張り込みをしたり、気付かずに他人の敷地内で張り込みを行ったりするとすぐに警察が来ます。そうすると当然、その後の調査は困難になり、警察への対応の仕方を間違えると、最悪の場合、対象となる人物に調査をしていることがわかってしまう場合もあります。こういった部分もご自分で調査を行う上で壁となる要素になります。
調査をするということは非常に神経質な問題を抱えているケースが多いので、その後のことを考えると、法律や、行うべき事、行ってはいけない事をわきまえている探偵に依頼することをおすすめします。どうしても自分で行ってはいけないわけではありませんが、リスクを承知の上で行うべき内容ではあります。
5.まとめ~探偵を選ぶポイント~
依頼する探偵業者を選ぶ際、もちろん使用する機材の性能も大事です。しかし、機材の性能だけが良くても、うまく扱えなくては意味がありません。また、調査の方法が悪いとせっかく良い機材を持っていても失敗してしまいます。
ノウハウや経験が豊富な探偵業者と、知識のない一般の方が同じ機材を用いて調査をした場合、最終的な結果や証拠能力に違いが出るということは断言してもいいくらいです。対象となる人物によって有効な調査方法は何か、どうすればバレないか、どうすれば証拠が押さえられるか、どういったものが証拠になるかという部分をしっかりと把握しているか、していないかの差です。
さらに重要なことは、問題が起こっている内容に関してどう対処するかということです。それは調査だけに限らず、調査をして証拠を収集した上で、その証拠をどのように有効活用するかという部分です。完璧な証拠を押さえたとしても、その扱い方を間違えると最終的な結果が大きく異なってきます。
不倫調査に置き換えると、慰謝料やその他、最終的に自分に入ってくるお金の額が変わってくる、当事者間で平和的に早期に解決したかったが、裁判にもつれ込み、予想以上の時間とお金がかかってしまった、ということが実際にあります。調査と同時に、最終的な結末までサポートしてくれる探偵を選ぶべきでしょう。