親の借金は負の遺産! 具体的な調べ方や回避する方法を詳しくご紹介
親の借金は負の遺産として残るため、親の存命中に把握しておくことが大切です。亡くなった後に見つかり、相続の際に借金を巡るトラブルが起こることもあります。とはいえ、どんな調べ方があるのか、借金が見つかったらどうすべきかなど、分からないことが多いでしょう。
そこで、本記事では、親の借金に関する調べ方や発覚した際にすべきことなどをご紹介します。
- 親の借金を調べる方法
- 親の借金が発覚した際にすべきこと
- 親の借金を相続するのを回避するには?
- 親の借金に関する相談先
- 親の借金でよくある質問
親の借金が見つかったら不安になりますよね。親の借金を相続するのを回避する方法と併せ、相談先も覚えておきましょう。
1.親の借金を調べる方法
まず、親の借金の調べ方についてご紹介します。
1-1.郵便物を調べる
郵便物から調べる方法があります。銀行や消費者金融などから郵便物がある場合、借金がある可能性が高いでしょう。催告状や督促状などがある場合、より注意が必要です。多額の借金に膨れ上がっている恐れがあります。
1-2.登記事項証明書などを確認する
自宅の登記事項証明書などを調べ、抵当権・根抵当権などが設定されていないか確認しましょう。設定されている場合は、借金がある可能性が高いとされます。
1-3.個人情報の開示請求をする
信用情報機関に連絡し、個人情報の開示請求を行えば、親の借金について調べることができます。借金の有無・返済状況・返済事故なども分かるでしょう。手数料は、定額小為替証書で1,000円支払います。本人確認書類を2種類用意して手続きをしてください。ただし、親が亡くなった後に調べる場合は、被相続人の死亡が確認できる除籍謄本の提出が必要です。借入先によって個人情報開示を依頼するところが異なります。
1-3-1.消費者金融
消費者金融に借り入れがある場合、株式会社日本信用情報機構へ個人情報開示を依頼します。問い合わせ先は、0120-441-481です。
1-3-2.クレジット会社
クレジット会社に借り入れがある場合は、株式会社シー・アイ・シーへ個人情報開示を依頼してください。問い合わせ先は、0120-810-414です。
1-3-3.銀行
銀行から借り入れがある場合は、一般社団法人全国銀行協会へ個人情報開示を依頼してください。問い合わせ先は、0120-540-558です。
2.親の借金が発覚した際にすべきこと
親の借金が発覚したら、何をすべきなのでしょうか?
2-1.金額を確かめる
借金の金額を確かめ、返済できるものなのかをチェックしましょう。負の遺産でも、プラスの遺産で返済できるものであれば、さほど問題ありません。しかし、多額の借金であれば、相続放棄なども視野に入れる必要があります。
2-2.返済状況を確かめる
親に借金があったとしても、返済状況によって対応は異なります。完済間近の場合と返済が難しい場合があるでしょう。2-1で既述した場合と同様に、返済状況では相続放棄の可能性も出てきます。
2-3.団体信用生命保険などの加入状況をチェックする
ローンなどを組む際は、団体信用生命保険などに加入している場合があります。団体信用生命保険は、債務者が死亡した場合に残債を保険金から返済してくれるものです。加入していれば、借金があっても問題ないでしょう。
3.親の借金を相続するのを回避するには?
親の借金を相続するのを回避する方法はあるのでしょうか? 具体的な方法をご紹介します。
3-1.限定承認
相続では、限定承認という制度があります。プラス遺産の範囲内で、負の遺産を相続するというものです。ただし、手続きが複雑で、相続人全員で申し出る必要があります。相続開始から3か月以内に申し出をしてください。
3-2.相続放棄
プラス遺産も負の遺産も、相続放棄をしてしまう方法があります。負の遺産が多い場合は、相続放棄のほうが賢明な判断でしょう。ただし、相続放棄の申し出は、限定承認と同様に、相続開始から3か月以内となっています。
3-3.親に自己破産してもらう
親が存命の場合は、自己破産してもらうのも1つの方法です。自己破産をすると、プラスの資産も処分されますが、借金の返済義務がなくなります。ただし、信用情報に自己破産と記載されてしまうため、5〜10年ほどは借り入れができなくなるでしょう。返済しなくていいというメリットはあっても、デメリットやリスクも大きく、自己破産を選ぶ際は、弁護士など専門家に相談したほうが無難です。
4.親の借金に関する相談先
親の借金は、どこへ相談すればいいのでしょうか? 相談先や相談方法などをご紹介します。
4-1.行政書士・司法書士・弁護士など法律の専門家に相談する
親の借金に関する相談は、行政書士・司法書士・弁護士など法律の専門家に相談しましょう。借金状況を調べるアドバイスをしてくれるのに加え、自己破産・相続放棄などどう対処すべきかを教えてくれるのがメリットです。
4-2.相談の依頼方法
各事務所のホームページから問い合わせをし、無料相談などの予約を取ります。できるだけ事前に資料などを用意しておきましょう。相談したい内容をメモしておくと、スムーズに相談が進みます。
4-3.相続問題に詳しい専門家を選ぶこと
行政書士・司法書士・弁護士には、それぞれ得意分野があります。相談する際は、相続問題に詳しい専門家を選びましょう。親の借金は、相続に大きな影響を及ぼします。過去の事例をもとに、適切なアドバイスをしてもらえるでしょう。
5.親の借金でよくある質問
親の借金に関する質問を集めました。
Q.親が存命の場合、直接問いただして聞き出す方法はいいのか?
A.直接問いただしても、正確な借金の総額が分からない場合がほとんどです。然(しか)るべき調査機関で正確な数字を調べるほうがいいでしょう。
Q.抵当権を確認するのに、登記簿謄本は自分で簡単に調べることができるのか?
A.はい、簡単に調べることができます。自分で調べるのに抵抗があるという方は、代行サービスなどを利用する方法がおすすめです。
Q.親の死亡後、3か月を過ぎた場合、相続放棄ができなくなるのか?
A.特別な事情があって遅れた場合は、家庭裁判所に説明をしたら、相続放棄が認められるケースがあります。しかし、認められない場合もあるため、なるべく早めに手続きをすることが大切です。
Q.親の借金は子どもが背負わなくていいのか?
A.はい、背負う義務はありません。ただし、子どもが連帯保証人になっている場合は、支払い義務が発生するので注意してください。
Q.個人情報開示はすぐにしてもらえるのか?
A.いいえ、時間がかかります。長い時間がかかるため、相続放棄などを検討している場合は、迅速に依頼することが大切です。
まとめ
親の借金は、負の遺産として残ります。遺産相続の際に見つかり、トラブルとなることが多いのです。借金の総額・借入先・返済状況などを調べておきましょう。個人情報開示や不動産の登記簿謄本などを調べる方法があります。相続放棄や限定承認などを家庭裁判所に申し出るには期限があるため、なるべく早い段階から手続きをすることが大切です。親の借金について不安に思っている方は、借金の調べ方について知っておきましょう。